皆さま、こんにちは。今日もよろしくお願いいたします。英語講師であり編集者でもある渡邉淳です。
今日は、最近私がどっぷりと浸かっている「ある一冊」との向き合い方について、皆さんに共有させてください。皆さんは最近、英語学習関連で「時間をかけて読み込んでいる本」はありますか?
私の場合、それは他でもない、あの『一億人の英文法』です。
「いやいや、お前はずっとそれを読んでるし、ずっとネタにしてるだろう」と思われるかもしれません。確かにその通りなのですが、今、私の中で「一億人熱」が猛烈に再燃しているのです。
しびれる解説、15年目の再発見
この3月、私は「#基本英文を極める」という目標を掲げ、主に『総合英語 FACTBOOK』の例文音読に明け暮れていました。音読の最中は、説明文を読み込む時間はあえて作らず、ひたすら英文を身体に叩き込みます。しかし、音読を一通り終えた今、改めて解説のページを開くと、その説明の鮮やかさに改めてしびれてしまうのです。
例えば「不定詞」の説明。形容詞的用法だの副詞的用法だの、かつて私たちが苦労して覚えた分類を、大西先生は「足りない情報を補う」という一言で鮮やかに括ってしまいます。また「仮定法」についても、単なる公式ではなく「現実との距離を感じる、遠い目をする意識」であり、だからこそ過去形を使うのだという説明。何度読んでも「なるほどな」と感動を禁じ得ません。
私は大西メソッドを追いかけて20年、この本が出てから数えても15年になります。中学生が成人するほどの長い月日を共に過ごし、英語講師としてその説明を「そっくりそのままコピー」して伝えてきた自負もありました。それでもなお、パラパラとページをめくっていると、「ああ、こんな素晴らしい言い回しをしていたのか」と、自分の中に落とし込めていなかった部分に出会うのです。
最近の私のお気に入りは、時の一致の項目にある「無意識・瞬時・自動的」というフレーズ。この語呂の良さ、伝えたい本質を射抜く言葉の選び方。著者が何十年も英語と向き合って結晶化させた知識を、たかが15年や20年で完全に吸収し切れるわけがなかったのだと、改めて襟を正す思いです。
「ねっとり」した情熱と「喉越し」の良さ
面白いのは例文も同じです。「ディズニーランドに行くより本を読むほうが面白い」とか「このケーキは見かけの半分ほども美味しくない」といった、少し独特で、人によっては好き嫌いが分かれるような、情熱(あるいは怨念に近いほどの思い)がこもった例文。この「ねっとり」とした濃密さが『一億人の英文法』の魅力です。
一方で、そのアクの強さを削ぎ落とし、極限まで見やすくしたのが『総合英語 FACTBOOK』です。私はその日の気分で使い分けていました。熱苦しい大西節に触れたい日は『一億人の英文法』を。疲れているけれど、喉越しのいい解説をさらりと確認したい日は『総合英語 FACTBOOK』を。そんなマニアックな使い分けをしながら一ヶ月を過ごしました。
講師がこっそり教える「究極の一冊」
ここで、少し大胆な提案をさせてください。もし皆さんが「これから大西メソッドを学びたい」「ラジオ英会話の副読本として一冊持っておきたい」と考えているなら……。
出版社さんには申し訳ないのですが、私は『総合英語 FACTBOOK』の「初版(無印)」を推したいのです。
今、書店に並んでいるのは最新の「サードエディション」でしょう。もちろん動画付きで素晴らしいのですが、版を重ねるごとにコラムや情報が増え、文字が敷き詰められてきました。実は最初の「無印」が、最も余白が多く、説明が研ぎ澄まされていて読みやすいのです。高校生や大学生に勧めるなら、私は迷わずこれを選びます。英語力は1ミリも伸びない豆知識かもしれませんが、本を相棒にする上ではとても大事な視点だと思うのです。
終わりのない旅を愉しむ
英文法の本を「通読」する機会は、大人になるとなかなかありません。しかし、こうして改めて読み返してみると、自分が分かったつもりでいた世界の下に、まだ深い地層があることに気づかされます。
4月からまた大学での講義も始まりました。講師として13年経ちますが、教壇に立つテンションが上がってくると、やはり私はこの熱苦しい『一億人の英文法』を読み込んでしまいます。未だに消化し切れていない「Ultra Advanced」のコラムに付箋を貼り、”some”の意外な使い方に「なるほどな」と唸る。そんな時間が、今はたまらなく楽しいのです。
英文法を整理することは、英語という世界を楽に歩くための地図を手に入れることです。皆さんもぜひ、お気に入りの一冊を、時間をかけて、何度も読み返してみてください。そこには必ず、かつての自分では気づけなかった「新しい景色」が広がっているはずです。
さて、今日はついつい長話になってしまいました。今日も最後まで聞いてくださって、ありがとうございました。皆さんの学習が、少しでも楽しく、深いものになりますように。
それではまた、お会いしましょう。バイバイ。




